バネに弾かれたかのように勢いよく飛び起きる。
肩で息をしながらゆっくり目を開けると明るい光が視界を覆い、ちょうど八戒が部屋の窓を開けた所だった。

「すみません、起こしてしまいましたね。おはようございます。」

いつものように、にっこり微笑んで挨拶をしてくれるのは・・・八戒。

「は・・・っ・・・かい?」

相手が分かっているのに名前を口にしないと落ち着かない。

「・・・どうしました?凄い汗ですよ?」

心配そうな表情の八戒が汗で額に張り付いてしまったあたしの前髪をゆっくりかきあげる。
八戒に髪を撫でられながら、あたしは視線だけゆっくり動かして今いる場所を確認する。
ここは・・・桃源郷の悟浄の家、そして・・・あたしの部屋。


よかった・・・桃源郷に来れたんだっっ!!


元に戻れた事で気が緩んだのか、あたしは目の前にいた八戒の腕の中に何の躊躇いもなく飛び込んだ。

「怖かった!怖かったよぉ〜っっ!!」

?」

あのまま吠登城に居たら、次に目を覚ました時も吠登城だったら・・・そうと思うと今でもゾッとする。
薄暗い部屋・・・そして何を考えてるのか良くわからない、アノ人。

うぅぅっっ・・・本当に良かったっ!

無意識に抱きついた八戒の服を力いっぱい握り締めたのを見て、いつも以上に優しい声で八戒は話しかけてくれた。

「何か怖い夢でも見ましたか?」

「・・・うん、凄く怖かったの。あのね・・・」

そこまで言ってから慌てて手で口を押さえた。
今の八戒に吠登城の話をしてはいけない。
まだその事は何も知らないのだから・・・。

八戒に言いたいけど言えないという状態・・・それでも八戒はそんなあたしの体をそっと抱き寄せて、小さな子供をあやすかのように背中を軽く叩いてくれた。

「大丈夫ですよ・・・僕が側にいますから。」

そう言うと八戒は一度だけあたしの体を力強く抱きしめた。
何だか八戒の腕の中はとっても気持ちが良くて・・・今までの恐怖がどんどん薄れていくような感じがした。







「悟浄!八戒!何処ぉ〜!!」

それでもその日は一人になるのがとっても不安で・・・まるで生まれたばかりの小鳥のヒナが親鳥の後を追いかけるかのように二人の姿を探していた。

「八戒〜っ、悟浄ぉ〜・・・ジープー!!」

終いにはジープの名まで呼び出す始末。
側に人がいないと何故か吠登城の出来事を思い出してしまって、不安な気持ちがどんどん大きくなってくる。

「みんな何処ぉー!!!」

「悟浄!僕、洗濯物を干していて手が離せないんでお願いします!」

「はいはいはいチャン、今行くって!!」

八戒の声が庭から聞こえてきた。あたしは今すぐ庭に向かって走り出そうとする体を何とか押さえ、落ち着きなく辺りを見回す。
すると洗面所の方から悟浄がやってくるのが見えた。

「悟浄!!」

パタパタ走って行くと、悟浄はあたしの体をちゃんと受け止めてくれた。
あたしは逃げられないよう悟浄のシャツの裾を思い切り掴む。

「はいはい、んな事しなくても今日はお姫サマの側にずっといてやるから・・・ナ?」

悟浄の大きな手があたしの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
あたしは下から悟浄の顔を見上げてにっこり笑うと、悟浄の手を引いてソファーへ向かった。





「でも頼むから・・・便所くらいゆっくり行かせてくれ・・・」

ソファーに座った瞬間呟いた悟浄の独り言は、ピッタリくっついているあたしの耳には残念ながら届かなかった。





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ようこそいらっしゃいました・・・と言うか、よくぞ気づきました!!
ここがオマケパート2です♪
え?何故パート2かって?・・・と言う貴方はまだクリアしてませんね(ニヤリ)
ここはゴールではありません。
ゴールはまた違う所にありますので、もう一度読み進めてみてくださいねv

もともとリクエストがドリームからちょっと離れたので、オマケ1を書いたんですが
この間参謀から聞いた話が面白くて・・・オマケを増やしてしまいました(笑)
かと言ってただ増やしたんじゃ面白くないんで「・・・何コレ?」と気になった人が
ポチッと押して来てくれると嬉しいなって感じにしてみました(笑)←どんな!?
すみません、風見は根っからのイタズラ好きなんです(しかもやる事は幼稚園児並)

さて、折角来てくださったのだからヒント?あげましょう!
このお話のエンディングは、全部で・・・えっと・・・8つあります。(ここのオマケ含む)
まだの人は・・・頑張れ!ファイトだ!ゴールで待ってるぞ!?
全て読んだ人は・・・お疲れサマ!本当にお疲れさま、そしてありがとう!!出来たらBBSに感想よろしくです!!